刷毛はもともと毛筆から変化したものだが平安時代に入ると経、絵画の巻物がつくられて紙の継ぎや裏打ちが行われるようになり、大経師により刷毛が使用されるようになった。
文献等では四天王寺蔵の国宝・扇面古写経に、井戸端や水辺で物洗いしたり、水を汲んだりしている絵が多いが、その中に漆塗りの箱と思われるものを洗っている絵があり、それに刷毛が二つ描かれているものがある。
室町時代に入り、とりわけ義政の時代書院造りの床の間に表装掛け軸が不可欠となり表具師が刷毛を使った職人尽くしの絵が描かれている。 この時代は表具師自身が刷毛を作ったものと思われる。
江戸時代になると、刷毛を生業とする職人が初め京に起こり、後には江戸にも出現する。京刷毛は柔らかく、江戸刷毛は一般に腰が強いと文献に出ている。 その製法は凹凸のない毛を揃え、和紙を張り合わせた厚紙で毛の根元を巻き、刷毛板に挟んでプレスし昔は髪の毛をよった糸、後には三味線糸で綴じて作るようになった。
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